こんにちは。ぐらたんです。
遠方に母と二人で暮らしていた父は、3年前に手術と入院を繰り返し、要介護3となりました。
そして、現在お世話になっている介護施設に入居して、1年が経過。
入居してからは、父の体調は安定しました。
自宅介護をしていたころの「転倒したら起こせる人がいない」という綱渡りの状況から解放され、母も私も安心しました。
しかし、時折繰り返されるのがこの言葉。
「ここを出ていく」
施設を出るつもりの父
定期的に「出ていく」と言う父ですが、今回は2週間以上言い続けています。
きっかけは、父の友人達が集まる飲み会でした。
飲み会が開かれることをメールで知り(読むことはできますが、返信はできません)、昔の仲間に会いたくなったようです。
父は、3年前の手術からお酒も飲んでいません。
しかし、
「タクシーで会場まで向かう」
「俺は酔っ払わない」
と、頑として出ていくと言い張ります。
父は自力で歩けず、基本は車椅子。
平坦な場所であれば杖+伝い歩きで20m程度の距離なら歩くことができます。
しかし、転倒した場合、母の力では起こすことができません。
実際、2年前に3ヶ月ほど自宅で過ごしましたが、ソファから立ち上がれなくなったり、車の乗り降りができなくて道路の真ん中で立ち往生したこともありました。
この状態では母のみが暮らす自宅での介護は不可能です。
父「帰りさえすれば、何とかなる」
いやいや、ならないんですけどね。
帰宅願望は認知症の初期症状の一つ
認知症の初期症状の一つに、帰宅願望があります。
帰宅願望とは、
帰宅の欲求を頻繁にしたり、実際に帰宅しようとすること
認知症の症状のうちの一つ
不安や孤独感など気持ちが不安定なっていることが原因で起こる
出典元:認知症による帰宅願望とは?「帰りたい」の原因から対応方法・実際の事例まで解説|サービス付き高齢者向け住宅の学研ココファン
すべての帰宅願望が認知症によるものではありませんが、父が認知症を患っている可能性は否めません。
なぜ自分が介護施設で過ごしているのかを理解していなかったり、自分は歩けると思っているから。
ただ、父なりの理由はあるのだと思い、話を聞いてみました。
父の言い分を聞く
どうやら、父は施設に不満があるそう。
具体的には、以下の内容でした。
・料理の味つけがしょっぱい(高血圧のため、濃い味つけを警戒している)
・年寄りばかりで話ができない
というものでした。
そこで、父の不満を減らし、安心してもらうように考えました。
家族でとった対策
施設への不満を減らす
施設への不満の1つが味つけ。
担当ケアマネージャーの方を通じてダメ元で味つけへのリクエストをしました。
結果、汁物に関しては少し味が薄くなったようです。
個別対応していただけて、ありがたいことです。
外の空気を感じてもらう
入居当初は面会禁止。
それが、10分という短い間ですが面会が可能になり、最近ではついに通院以外の外出が叶うようになりました。
そこで、私の帰省に合わせて一緒に食事をすることにしました。
食べたいものを聞くと「何でもいいよ」と素っ気ない父ですが、母曰く楽しみにしているようです。
施設の職員の方の力を借りる
介護施設のスタッフの方は、介護のプロ。
帰宅願望のある入居者への対応は、素人である家族よりも慣れているはずです。
実際にあったことですが、母や私だと、父が施設を出て飲み会に行くと言い出すと
「歩けないのにどうやって飲み会の会場まで行くの」
「介助してくれる人いないよ」
とついストレートに話して、父の気持ちを傷つけてしまいました。
そして父もムキになる…という悪循環。
お互いの距離が近いだけに、感情的に発言してしまいます。
担当のケアマネージャーに相談した結果、面会の時間を利用して、ケアマネージャー・母の複数人で本人に話をすることになりました。
ケアマネージャー曰く、「ここはチームを組んで話をしましょう」と。
心強いです。
面談の中では、ケアマネージャーは父の歩行能力の現状を伝え、
「今すぐにではなく、1年かけてできることを増やしましょう(具体的には段差の登り降りなど)。1年後、様子を見て、帰れるようであれば帰りましょう」
と話してくださいました。
父の帰宅願望を頭ごなしに否定せず大切にしながら、「今すぐの帰宅」は避ける案。
この言葉が、父にとって励みになればいいなと思いました。
帰宅願望の変化
父の帰宅願望に直接的な効果があったのは、「施設の職員の方の力を借りる」でした。
家族の言葉だけでは聞かない父も、話し合いの後は「飲み会は断る」と話しました。
家族で抱え込まずにプロの力を借りてよかったと感じました。
今後も帰宅願望が出てくる可能性もありますが、父の気持ちを汲みながら、うまく誘導できたらと思います。
そして、日々の本人の小さな不満を解消し、ガス抜きをさせてあげたいと思いました。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!